過ぎ去りし永遠の日々
その日も二人で飲みに行った。
お互い口数が多い方ではない。
グラスを傾け、煙草を吸い、ポツポツと語る。
灰皿に溜まっていく二種類の吸殻が、二人の間に流れる時を知らせていた。
彼は最後の酒を飲み干すと、グラスを置いて立ち上がった。
「じゃあな」
「あぁ」
それ以来、彼とは会っていない。
義体化した故に己のゴーストを疑い、悩み苦しんだサイボーグがいた。
ゴーストの獲得を願い、死に憧れたAIがいた。
そして………。
老いを感じながらも義体化を固辞し、戦場を去っていった狙撃手がいた。
あの日、時を知らせていた煙草の吸殻も、今は一種類だけ。
サイボーグはパーツさえ交換すれば、理論上は永遠に生きられる。
しかし………。
≪ゴーストは死んでいくんだな………サイトー≫
返事は返ってこない。
その代わりというように、グラスの中で氷が乾いた音を立てた。
Fin
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