そして世界が回り始める
世界は何色かと問われれば、灰色だと答える。
血の色すらも赤黒く闇の中に沈んでいく、そんな世界だ。
人の気配に、わずかに視線をずらす。
俺の隣に立つ男。
「よぉ」
「…おう」
視界の端に映った蒼が、俺の世界に色彩を急速に呼び戻す。
急激すぎる変化に目眩がしそうだ。
煙草の煙を吐き出す振りをして、呼吸を整えた。
≪…サイトー≫
≪何だ?≫
≪今夜開いてるか?≫
≪口説き文句によるな≫
カチリ、と自分の中で歯車が噛み合う小さな音が鳴る。
意外な返しに思わずその横顔を振り向いたが、そこにはいつものポーカーフェイスが見えるだけだった。
だが、珍しく機嫌がいいらしい。この機を逃す手はない。
≪抱かせろ≫
≪…随分ストレートだな≫
≪お前相手に余計な言葉は使いたくない≫
≪簡潔で結構なこった≫
≪で?≫
≪お前のセーフか?≫
≪あぁ≫
≪終わったら下で待ってる≫
≪了解≫
「先に行く」
「あぁ」
サイトーは吸殻を携帯灰皿に捨てると、屋上から出て行った。
≪パズ、どこにいる。例の解析が上がったぞ≫
≪屋上だ。今行く≫
ボーマの呼びかけに応えながら、短くなった煙草を回り始めた世界の中に投げ捨てた。
Fin
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