Silent Noise



 声らしい声を聞いたことがない。






「…! っ!」
 サイトーは声をどんな時も声を立てない。
 拷問に対する耐性がそれを許さない。
 拷問だろうとセックスだろうと、声を出した方が楽になる。分かっていてもできない。
 身についた習性がそれを許さない。
 だからパズもサイトーにそれを強要したことはなかった。
 ただ自然にサイトーを導くだけ。
 追いつめればそれだけ耐えてしまう。だから決して追いつめない。
 焦らすようにゆったりと腰を使い、持久戦を得意とする彼のフィールドに誘導する。
 歯を食いしばる唇にもキスはしない。口付ければサイトーは呼吸を止めてしまう。
 だからうねる身体を軽く組み敷いて、唇の端をぺろりと舐める。
「ぅ…っ!」
 嫌がるサイトーは逃れるように顔を背けた。
 がら空きになった首筋を舐め上げる。
「! っ!」
 ビクビクと跳ねる身体は言葉よりも能弁だ。
 いくら逃れようとあがいても、パズの身体の下から、快楽からは逃れられない。
 口の端に口付けて。キスの代わりに指先で撫でて。
 漏れた吐息が陥落の証し。
「………パズ………っ!」
 その一瞬が唯一の声。その声で彼の名を呼ぶ。
「…サイトー…」



 アイシテル



 決して聞こえないその声は―――Silent Noise―――



Fin





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