銃とナイフ 4 -Rain Day-



 カウンターで互いにそっぽを向いたまま、押し黙って酒を飲んだ。
 何故こいつがここにいるのか分からなかった。









 待機を覚悟して本部に戻ってくると、意外な程あっさりと任務から解放された。
 サイトーはポーカーフェイスの内に陰鬱な気を抱えたまま本部を後にした。
 任務に打ち込むことで晴らすつもりでいたのだが、その任務がないのだから仕方がない。手っ取り早く酒で洗い流すことにした。

 行きつけのバーではなく、適当に選んだ店に入った。ただ早く酒が飲みたかったからだ。
 ほぼ生身ではあるが、簡単に酔いつぶれるほど弱くはないし、自分の酒量の限度も知っている。むしゃくしゃしてはいたが、羽目を外すほど飲むつもりもない。
 だから、隣りの席にその男が座った時、無性に腹が立った。
「よぉ」
 サイトーの隣りに腰掛けたパズはバーテンダーにサイトーと同じ酒を頼むと、煙草を取り出し火を点けた。
 一緒に飲みに行ったこともあるので、パズはサイトーの行きつけの店を何軒か知っている。しかし、今日はサイトーも初めての店だ。本部から帰るサイトーをつけてきたのだろう。
「…何のつもりだ?」
「別に」
 答える横顔はサイトー以上に何も変わらない。細い目で煙の先を見つめ、サイトーの方を見ようともしない。
 この男に対して苛立っていることが、何だか急に馬鹿馬鹿しくなってしまった。サイトーは黙ってグラスを傾け、パズもまた煙草の吸殻を増やしながら酒を飲んだ。互いに何も語らなかった。
 何杯かの酒を空けた後、サイトーは金を置いて席を立った。その時もパズに声をかけることすらしなかった。重い扉を開けて外に出ると、一度止んでいた雨が再び降り出している。
「ちっ!」
 もちろん傘など持ってきていない。サイトーは忌々しげに舌打ちすると、雨の中を駆け出した。







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