銃とナイフ 6 -Dance with the Devil-
「今夜はヌード・バーで自棄酒だ!」
草薙のこの一言により、公安9課のメンバーは草薙の行きつけの店に来ていた。
丸いテーブルを囲むように配置されたソファの中央に草薙が陣取り、その両隣をバトーとイシカワが固めている。
バトーの隣にはトグサが座り、その隣にサイトーが座っている。イシカワの隣はボーマで、その隣がパズだ。
次々と酒を空にする草薙の世話を焼くように、バトーとイシカワが酒やつまみを注文している。トグサはステージの上で踊るダンサーにちらちらと視線を送りながら、「カミさんに知られたら…」とあまり浮かない表情だ。
ボーマは花より団子らしく、自分で食べたいものを注文しては黙々と消費している。その隣で時折グラスを傾けながら、パズが煙草を灰に変える作業に没頭していた。
そして、サイトーはといえば、裸体で踊るダンサーに欲情できるほど青くもなく、草薙やボーマの食べっぷりに食欲も萎えてしまった。
吸っていた煙草を灰皿でもみ消して、立ち上がる。
「どうしたの、サイトー?」
「ちょっとトイレに」
「そう」
体内プラントの機能をオフにしている草薙はしたたかに酔っているようだ。
「パズ。どの子を持って帰るの?」
「………………左から2番目」
「私なら一番右ね」
冗談とも本気ともつかない台詞が背中から聞こえてくる。
トイレのドアを閉めると、喧しいほどの音量で流れている音楽が少し小さくなった。
草薙がよく使っている店なだけあってトイレもかなり豪華で、広々とした室内に男性用便器が5つとその奥に2つの個室が備え付けてあった。
サイトーは用を足すと、大理石でできた洗面台で手を洗い、ついでに顔も洗った。
セーブしていたつもりだったが、草薙の飲むペースに煽られて、思った以上に飲みすぎてしまったようだ。身体が警告を発しているのが分かる。
ここから先はソフトドリンクで体内のアルコールを薄めた方がいいだろう。問題はあの草薙の目をどうやって誤魔化すかだ。
鏡に映る自分の顔を見つめながらそんなことを考えていると、トイレのドアが開いた。
「…パズ」
「よぉ」
中に入ってきたパズはサイトーに近づくと、少し濡れているサイトーの顔を覗き込んだ。
「酔ったのか?」
「あぁ。少しな」
「そうか」
パズはスラックスのポケットに入れていた手を抜き出すと、サイトーの左腕をとった。
「パズ。助けがいるほど酔ってねぇよ」
しかし、パズはその手を離さず、サイトーの身体を引っ張った。
「? パズ? おい!」
しかも、出口には向かわず、トイレの奥へとサイトーを引きずっていく。
「何しやがる?!」
サイトーの抗議も意に介さず、パズは奥の個室の1つにサイトーを押し込むと、自分も滑り込み、鍵を閉めた。
「っ!」
普通の個室よりは広いとはいえ、大の男が2人も入るとさすがに狭く、義体化率の高いパズに抱きすくめられて、サイトーはたちまち身動きが取れなくなってしまった。
タイル張りの壁に身体を押し付けられ、シャツ越しに伝わる冷たさに怯んだ隙に、足を膝で割られた。
「パズ…ん…!」
顎を掴まれ、無理やり唇を塞がれる。煙草の苦味とアルコールの混ざった香りが、サイトーの口内を蹂躙する。
サイトーは必死に身体を捩るが、パズの拘束から逃れられなかった。
パズは自分の身体でサイトーの身体を壁に押し付けたまま、空いてる手でサイトーの腰を辿った。皮のパンツをそろりと撫で、おもむろに股間を握る。
「!!!」
サイトーの身体が大きく跳ねた。口の端から嗚咽のような声が漏れる。
パズはサイトーに深く口付けたまま、サイトーの股間を撫で始めた。
≪おい! パズ!≫
口が使えないサイトーは電通で叫んだ。
≪止めねぇか、馬鹿! ここをどこだと思ってんだよ!≫
≪ヌード・バーのトイレだろ?≫
対するパズはしれっとしている。その手を止めようともしない。
≪誰か来たらどうすんだよ!≫
≪服を脱いでダンサーと一緒に踊ればいい≫
≪阿呆!≫
いかがわしい店ではあるが、客である自分たちは曲がりなりにも警察官である。こんな場所でこんな不埒な行為をしていい身分ではない。
≪盛るなら女に盛ればいいだろうが!≫
先ほども草薙と好みの女の話をしていたパズだ。目配せすれば、ダンサーの1人や2人、持ち帰ることなど簡単なことだろう。
≪飽きた≫
一晩どころか1時間も経っていないというのに、眺めているうちに飽きてしまったらしい。
だが、一度灯ってしまった情欲の炎が身体の奥で燻り続け、その矛先が向かったのが目の前に座っていた人物だった。
≪止めろって!≫
≪嫌だね≫
パズの手つきは的確で、サイトーのモノは反応し始めてきた。酔いも手伝って、脳幹が痺れてくる。
(…くそっ…!)
こうなってしまっては抵抗の意味はない。
素直に従って、手っ取り早く終わらせてしまった方が安全だ。
≪………分かった。付き合ってやるから、早くしろ≫
≪了解≫
パズは撫でていた手を止めると、ベルトのバックルを外し、ボタンを外してジッパーを下げた。そして下着ごと下へとずり下げる。
空気に晒されたサイトーのモノは硬く立ち上がっていた。
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