バスルームに水音が響く。
しかしそれはシャワーの音だけではない。
密着したパズとサイトーの身体の間で雄同士が擦れ合い、零す蜜の音。
貪りあうような深い口づけにより、口の端から漏れる唾液の音。
それら猥雑なものも混ざり合い、バスルームの湿度はより濃密なものに感じられた。
あまりの息苦しさに、サイトーはパズの上半身を引きはがし、下を向いて大きく息を吸い込んだ。
口の周りを汚した唾液を、上から降り注ぐシャワーのお湯が洗い流していく。
下を向いたせいで、ぴったりと密着した身体に挟まれた二つの猛り狂う雄が見えた。
「軍に居た頃はこういうセックスをしてたのか?」
水音に混ざるパズの声は、心なしか些か荒い。心肺を義体化していても制御しきれず、呼吸が乱れているようだ。
「…あぁ。これなら身体に負担はかからないだろ?」
「そうだな。たまにはこんなセックスも悪くない」
サイトーの腰を抱き寄せて、揺するように腰を動かす。
サイトーの肉に擦れた雄から背筋を伝って、脳殻に快感が届く。
「たまらねぇ…」
パズは思わずつぶやくと、再びサイトーの唇を塞いだ。
≪おい。そんなにがっつくなよ≫
口を塞がれたサイトーが電通で抗議する。
≪無理だな≫
≪こんなに密着されちゃあ、お前の顔が見えねぇだろうが≫
≪イく時に放してやるよ≫
傲慢に言い放ち、サイトーの口腔内を蹂躙することを止めようとしない。
パズの背中にすがりつく、サイトーの手に力が籠る。
息苦しさに意識が朦朧とし、快楽で膝が震え、パズの背中に爪を立てていないと今にも崩れ落ちそうだった。
「ん…! んふっ! ぅ…っ!」
苦しげな吐息がサイトーの口の端からこぼれて落ちる。
≪…パズ…!≫
≪イけ、サイトー≫
「んん…っ!」
電流に打たれたように、パズの腕の中でサイトーの身体が跳ね、二人の身体の間に白い粘液が散った。
それをシャワーの温水がゆっくりと洗い流していく。
「…やっぱりイくのはお前の方が先だったな」
「…うるせぇ…」
「だが、俺ももうすぐだ」
荒い呼吸を繰り返すサイトーの顎に手をかけて、上を向かせる。
「すぐにイくから見てろ」
片腕だけでサイトーの腰を抱き寄せて密着させると、パズ再び動き出した。
情欲を吐き出して少し萎えたサイトーの雄に自分の雄を擦りつける。
「…あ…」
再び伝い始めた感覚に、サイトーは声を漏らした。
水音を立てて擦れ合う身体の間で、サイトーの雄が再び硬度を取り戻し始める。
それを直に感じながら、パズは上りつめていった。
「…サイトー」
「あぁ…」
「………っ!」
噛み殺した声は水音の中に消えた。
シャワーで互いの身体をさっぱりと洗い流し、心地よい倦怠感が二人を包んでいた。
「…で? どうだった?」
「思ってた以上に間抜けな面だ」
サイトーの正直な物言いに、パズは苦笑した。
「酷ェ言い草だな。何なら自分のイく時の面を見てみるか? 俺の目に乗せてやるよ」
「遠慮しておく。趣味が悪ぃ」
喉の奥で笑いあいながら、触れるだけのキスを交わした。
Fin
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