バスタオルで手早く拭いただけの身体をベッドに横たえたサイトーが、内心で怯えていることにパズは気づいていた。
本人はポーカーフェイスで隠しているつもりらしいので、あえて口に出したりはしない。
そのポーカーフェイスを崩すのも、楽しみの一つでもある。
その身体に覆いかぶさり、キスをしてやると、そのリアクションは初心な女のようだった。
(これが世界屈指の狙撃手なのか)
パズは内心でほくそ笑み、その首筋に顔を埋めた。
吸い付き、舌で舐め上げ、歯を立てる。
切れ切れに押し殺した声が、パズの耳をくすぐる。
パズはサイトーの肩を掴んでいた手を滑らせると、指先でサイトーの胸の飾りを軽く摘んだ。
「おい。俺は女じゃねぇぞ」
即座にサイトーから抗議の声が上がった。
「知ってる」
「なら…」
「ここは男も慣れればイイところだ」
抵抗しかける身体を抑えつけ、唇を下へ辿らせる。たどり着いた小さな突起を舌先で転がしてやると、サイトーの身体が大きく跳ねた。
「くすぐってぇ!」
「我慢しろ」
そう言い放って、パズはサイトーの両の突起を弄り始めた。
「よせって…パズ!」
くすぐったいような、むず痒いような感覚が競りあがり、サイトーは逃れようと身をよじる。だがパズの手と唇はどこまでもついてきた。
「…ん…っ」
それに僅かながら、パズのいう感覚も感じられるようになってきた。それを示すようにそこは固くなっていたが、サイトーは気づいていない。
飽くことなくそこを嬲っていたパズは軽く歯を立てた。
「んっ!」
背筋を伝ったものは、間違いなく『快感』だった。
(やはり生身は違うな)
パズはサイトーの身体を愛撫しながら、感慨に耽っていた。
義体を卑下するつもりはまったくない。しかし、義体が電脳に伝える感覚は、結局のところ本物に良く似せた電気的な信号でしかなく、その気になれば切ってしまうことだってできる。
生身は感覚を切るなんてできるはずもなく、そのままの感覚をダイレクトに電脳に叩きつける。苦痛も快楽も。
戦場にいて、全神経を研ぎ澄ます狙撃手の感覚器官は、常人以上に鋭いのではないかと思っていた。
実際その肌に触れてみると、それは想像以上だった。
与えられる感覚を鋭敏に受け取りながらも、それを耐え忍ぶ精神力も持ち合わせている。
パズの男としての嗜虐心を煽るには十分過ぎた。
胸を弄っていた手を下に滑らせると、徐にそこを掴んだ。
「ぅぁっ!」
思ったとおり、一度抜いたはずのそこは硬度を取り戻し、溢れた蜜に濡れている。
「ほら、感じてるじゃねぇか」
「うるせぇ…!」
悪態と吐くサイトーからは、もう怯えはなくなっていた。
パズはサイドテーブルの引き出しからボトルを取り出すと、サイトーの目の前に翳した。
「分かるな? ローションだ」
サイトーの顔が少しだけ強張る。
「………変な薬は入ってねぇだろうな?」
入れられる覚悟はできたらしい。
「さて、どうだったかな。自分の身体で確かめてみろ」
「おいっ!」
「冗句だ」
「笑えねぇよ、馬鹿………ん!」
パズが左の手のひらに垂らした液体を、サイトーの双丘の谷間に塗りつけると、その冷たさにサイトーは顔をしかめた。
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