パズの指先が固く閉ざされたそこを解すように撫でる。
細い指とはいえ、いきなり入れればサイトーは痛がるに違いない。
この頑なな男を攻略してみたいとは思うが、傷つけることは本意ではない。
パズはかがみ込むと、戸惑うことなくサイトーのものを口に含んだ。
「パズ!」
流石のサイトーもこれには驚き声を上げる。
普段は女にさせているだろうことを、パズ自らが行っている。それも恋人や愛人などではなく、その日たまたま一緒に飲みに行った同僚に対して。
「ふ…っ! うっ!」
普通の男ならば、そこを愛されて感じない者などいない。しかもそれが的確にイイ場所を突いてくるのだから、如何に忍耐強いサイトーでもたまらない。
拷問をはじめとする痛みに対する忍耐力なら身につけている。しかし、この手の感覚はまったくと言っていいほど慣れてはいない。
初心を気取るつもりはまったくないが、しかしこの夜は『初めて』のことが多すぎた。
相手が女好きで知られる同僚であること。その同僚が実は男もイケるクチであったこと。そんな男に自分が欲情していること。
それらが合い余って、サイトーの許容できる範囲を超えてしまっていた。
「うぁっ! あっ!」
もう達しようとしているところで、後ろに指が差し込まれる。
「は…っ!」
それはローションの滑りを借りて、すんなりと入ってきた。しかし強烈な異物感に、快感が殺がれてしまう。
パズの指は一度奥まで入った後、そのままじっとしていた。異物を追い出そうと、サイトーの内部が蠢く。
その動きに合わせるように指をゆっくりと引き抜き、すべてが抜ききる寸前でまた突き入れる。
「くはっ!」
その指の動きと合わせて前を愛してやると、サイトーの身体が面白いように跳ねた。
「パズ…っ!」
恐らくはそれは制止のための呼びかけだったのだろう。
サイトーはパズの名を呼びながら、口の中に欲情を吐き出して果てた。
サイトーが吐き出したものを飲み下し、口元を拭う。
「二度目なのに濃いな」
サイトーは言い返してやりたかったが、パズの指が内部を蹂躙し続けているので言葉にならなかった。
ローションを細く垂らしながら、二本目の指が入れられる。
異物感と圧迫感は増したが、幸いにも痛みはなかった。
爪を立てぬよう気遣っているのか、指の腹で広げるように内部を押し撫でる。
「うあっ!」
ある一点で、信じられないほどの快感が背筋を駆け上がった。
「あぁ。ここか」
見つけ出したその場所を、パズは重点的に攻め上げる。
「パズっ! そこ、触るな…っ!」
経験したこともない、強烈な悦楽だった。ゆっくりと時間をかけて電脳が焼ききられていくかのようだ。
暴れるサイトーの左腕を右手で抑えつけ、左手でその場所を嬲りながら口付けると、サイトーが右腕でしがみついてきた。
口の中に差し入れた舌先で、サイトーの舌を誘ってやると、ねだるように絡み付いてきた。
「んふ! んんっ!」
サイトーの口の端から、どちらのとも思えない唾液が漏れ伝う。
「んんっ! うんっ! …ぅんっ!」
しがみつくサイトーの腕の力が強まり、一気に脱力した。
パズが身体を放すと、サイトーの右目から涙が零れ落ちている。
「後ろだけでイったか。俺はまだ一度もイってねぇのに」
生身は敏感だなと呟くと、サイトーは両腕で覆うように自分の顔を隠した。
「………パズ」
「何だ?」
≪俺もした方がいいか?≫
口にするのは躊躇われたのか、サイトーは電通を送ってきた。
「何をだ?」
本当は聞かなくても分かっているのだが、あえて聞き返してやる。
≪聞かなくても分かってるだろうが!≫
「フェラか? お前、俺のをしゃぶれるのか?」
電通ではなく、口に出して言葉で嬲る。サイトーほどのプライドある男が、男のモノを咥えるのに躊躇しないはずがない。
「………俺ばっかじゃ、不公平だろう」
律儀なサイトーらしい物言いに、パズは笑みを零した。
「気にするな。お前の嬌態を拝めた分でチャラだ」
「っ!」
「それに俺はお前の中でイかせてもらう」
「…パズ」
「安心しろ。生で入れたりしねぇよ」
パズは自分のモノにコンドームを被せると、サイトーのそこに宛がった。
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