そして、そのまま深く口付ける。
≪おい!≫
慌てたような電通が、パズの電脳を叩いた。
≪お前のをしゃぶってたんだぞ?!≫
≪だから何だ?≫
その言葉にサイトーは絶句した。
ゆっくりと離れたパズは真っ直ぐにサイトーを見つめ、射竦める。
「泥を被って生きてきたのはお前だけだと思ってるのか?」
あえて語って聞かせられるような大層な人生でない。それはサイトーもパズも同じこと。
相手が女でも男でも、すべてが好んで結んだ関係ではなかった。
そんな人生の中で出会い、触れ合う機会を得た。その時間は恐らくとても短い。
パズはもう一度サイトーに口付けると、腰を引き寄せ、互いのモノを一まとめに握りこんだ。
「ふ…っ!」
サイトーの口の端から吐息が漏れる。
そのまま腰を揺らすと、サイトーがしがみついてきた。
「んっ! ん! ぅっ…!」
熱の塊が擦れ合い、更に熱を生む。響く水音はシャワーの音だけではないだろう。
パズとサイトーの聴覚は、互いに生み出す音だけを聞いていた。
「…っ!」
先にパズが達した。白濁したものが手とサイトーの腹を汚すが、すぐにシャワーで流れていく。
「…珍しいな。お前が先にイくなんて」
「お前が舐めてくれたからな」
パズは素早く跪くと、サイトーのモノを咥え込む。
「うぁっ!」
強く吸い上げられて、サイトーは呆気なくパズの口の中に情欲を吐き出した。
パズはそれを飲み下す。
「…よく飲めるな」
思わず呟くと、パズが顔を上げた。
「お前のだからな」
口説き文句のような台詞にパズの顔を直視できなくなり、サイトーは顔を背けた。
「味わってみるか?」
「あ?」
立ち上がったパズはサイトーの顎を掴むと、強引に口付けた。
「どうだ?」
「…趣味が悪ぃ」
「そいつはどうも」
「褒めてねぇ」
サイトーの肩に顔を埋めて、パズは肩を揺らして笑った。
「どうする? もう一発抜いておくか?」
「…しょうがねぇ。付き合ってやるよ」
素直ではないサイトーの物言いにパズはもう一度笑うと、再びサイトーの腰を引き寄せた。
バスルームを出た後、手早く身なりを整えたサイトーは自分のセーフハウスに帰っていった。
あれから一週間。もうすぐ草薙とサイトーが戻ってくる。
煙草の煙が消える先。
青い空をパズはずっと見つめていた。
Fin
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