「イイコだ。サイトー」
 やはり朱に染まっている尻を撫でてやると、ぴくりと震えた。その双丘両手で包み込むように、親指で秘部を押し広げる。
「っ!」
 濡れた舌先で突付くと、サイトーはびくりと腰を引いた。
「逃げるな、サイトー」
 腰を掴んで引き寄せ、再び唇を寄せる。
「う………」
 くぐもった声がサイトーの口から漏れた。
 唾液で濡らしながら、硬く閉ざされた入り口を丹念に舐めて解す。少し解れてきたところで、しゃぶって濡らした指先を中にゆっくりと差し入れた。
「ぐ…う………」
 ローションのような滑りがない分、ダイレクトにパズの指の存在を感じた。強烈な異物感が不快で、内臓を揉まれる感覚に吐き気すら覚えてくる。
 パズの言うとおり、サイトーには耐え難い行為だ。しかし、それを甘受できるのは、相手がパズだからという理由以外に他はない。
 命を預ける同僚だから? 何度も身体を重ねたセフレだから?
 正直言って、分からない。
 パズがサイトーを抱きたがる理由も分からないし、サイトーが何度もパズに抱かれる理由も分からない。
 否。分からないままでいたいのだ。理由などいらない。
 ただ。互いに欲する時にそこに在る。その瞬間があれば良かった。
 それだけだ。
「ん。んぅ…!」
 差し込まれる指が二本に増えた。サイトーの身体はすでに痛み以外の感覚を手繰り寄せることに慣れている。自ら腰を動かして、パズの指先をその場所へと導いた。
「………うぁっ!」
 強い電流のような快感が背筋を駆け登り、脳天を突き抜けていく。萎えていたものが一気に力を取り戻し、透明な蜜を零し始めた。
 パズの指を咥え込んだ入り口を舌先で舐め、中に唾液を流し込む。くちくちと滑った音がサイトーの聴覚から外の雨音を消した。
「………パズ…早く………」
 押し殺したサイトーの声が、パズの耳に届く。
「ダメだ。まだ早い」
「うぁ…っ! 早く…!」
「もう少し我慢しろ」
 ローションのような潤滑液がない分、良く慣らさなくては裂けてしまう。サイトーに傷を負わせるのはパズの本意ではない。強請られても、それだけはできなかった。
 揺らめく腰を撫でて腹に手を回し、蜜を零すそれを手のひらで包み込んだ。
「あ…っ!」
 猥雑な水音が更に増す。サイトーの手に捕まれたソファの背もたれが悲鳴のような音を立てた。
「パズ…パズぅ…! もう…!」
 パズは中から指を引き抜くと、手のひらについた蜜を秘部に撫でつけ、立ち上がった。サイトーの腰を掴み、痛みを感じるほど硬くなっている自身をその場所に押し当てる。
「パズ…っ! 待て…!」
 サイトーは後ろ手にパズの手首を掴むと、腰を止めさせた。
「何だ?」
「お前…生でヤる気か?」
「ゴムがねぇ。あるのか?」
「………ない」
「なら仕方ないだろ。安心しろ。中に出したりしねぇよ」
 パズの手首からサイトーの手が離れ、再びソファの背もたれを掴む。
 それを見届けると、パズはゆっくりと自身をサイトーの内部に押し入れ始めた。
「う………ぐ………」
 慣らしたとはいえ、いつもよりも滑りが悪い場所はパズの侵入を拒絶している。傷を付けないよう、パズは慎重に腰を進めた。
 ゆっくりと押し進めて、最奥を突く。
「…っ!!!」
 声を押し殺しながら身体を硬直させたサイトーは、白濁した液を放っていた。
「…何だ? 挿れただけでイったのか?」
「…うるせぇ。…テメェが焦らすからだろうが」
 荒く息をつく汗ばんだ背中を撫でてやりながら、サイトーの内部が慣れるのを待ってやる。
「サイトー。動くぞ」
「…あぁ」
 サイトーの答えを聞くと、パズは小刻みに腰を使い始めた。
「ぅぐ…っ!」
 いつもよりもリアルに感じるパズのモノがサイトーの内部で蠢き、引きつるような痛みがサイトーを襲う。
 しかし、それもつかの間だった。先ほどとは比べ物にならない強烈な快感が、背筋を駆け上がる。
「あぁっ! うわぁっ!」
 その快感があまりに強すぎて、サイトーは背後でパズが小さく笑ったことに気づけなかった。
 その場所を穿つように、パズは腰を使う。
「うあ! あ、あ!」
 サイトーの口は唾液と嗚咽を漏らすだけのものになっていた。口の端から垂れた唾液が、ソファの背もたれに染みをつくる。
「…やっぱり…お前の中はすげぇ熱いな…」
 まるでその熱でパズのモノを溶かそうとしているようで。いつも以上に余裕がなくなってくる。
 生で感じるサイトーの熱さに、パズも熱い吐息を漏らした。
「ん! ん! んん!」
 サイトーの腹の下では、サイトー自身が再び硬度を取り戻していた。パズの腰の動きにあわせて揺らめいている。
「…サイトー。…出すぞ」
「あ…あぁ………!」
 勢いをつけて最奥を突き上げて、一気に引き抜く。
「うぁ………っ!」
 絶頂に達したサイトーはもう一度情欲を放ち、パズもまたサイトーの背中に白濁した情欲を放った。
 サイトーの丸まった背中に散ったそれは脇腹を伝い、サイトーのものの隣りにぽたりと落ちた。



  



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