「? サイトー?」
 そして手に垂らしたオリーブオイルを自分の双丘の間に塗りつける。
「お前、感覚器官切るつもりでいるだろ? そんな奴に突っ込んでもつまらねぇよ」
 サイトーは目を閉じると、オイルで滑る指先を秘部の内部に埋め込んだ。
「う…ぐぅ…」
 異物感に息が詰まる。それに自分の手では、思った場所にうまく指先が届かない。
「サイトー。俺の手を使え」
 苦悶の表情を浮かべるサイトーを見かねて、パズは口を開いた。
「…あ?」
「俺からお前に触る気はねぇよ。俺に有線して、リモートで俺の手を使えばいいだろう」
「………………………」
「ほら。早くつなげよ」
 サイトーは指を引き抜くと、コードを伸ばしてパズに接続した。
 セキュリティを解いたパズの右手を操り、その手のひらにオリーブオイルを垂らすと、自分の背後へと導く。
「う…っ!」
 オリーブオイルの冷たさと、いつもと違う手つきのパズの指の感触に、思わず呻き声が漏れる。
 秘部を解すようにオイルを塗りこめ、意識して息を吐き出しながら、パズの指を奥まで飲み込んだ。
「…ふ…ぅ…!」
 パズが施す愛撫をできるだけトレースし、硬く閉ざされた内部を解していく。
 その一方で、サイトーは左手をパズの肩に置いて身体を支えると、右手をパズのモノに添えて扱き始めた。
 右腕の挙動制御はサイトーに預けたが、感覚器官までは切っていない。指先に感じるサイトーの内部は思った以上に熱かった。アルコールの影響が出ているのだろう。
 パズの膝の上に跨るサイトーは、先ほどから目を閉じたままだ。パズの顔が見たくないわけではなく、パズの右手を制御するのに集中しているのだろう。
「うぁ…!」
 サイトーが小さく声を上げ、パズの肩に置かれた手に力が篭った。
 自分のイイ場所を探り当てたようだ。パズの指先で引っかくように、そこを擦りあげる。
「あぁ…くそ…!」
 しかし、その行為に没頭しようとすると、パズのモノへの愛撫が疎かになってしまう。
 上手くいかずに、苛ついたようにサイトーは舌打ちした。
「サイトー。右手を離せ」
 その声に目を開けると、間近にサイトーを見つめる細い目が見えた。
「しかし…」
「安心しろ。約束どおりお前には触れねぇよ」
 サイトーが右手をパズのモノから離すと、パズは左手を自分のモノに添えた。
「盛ってるお前を眺めながらマスかくのも乙なもんだ」
「…ぬかせ…!」
 笑っているパズの目を見ていられなくて、サイトーは視界を奪うようにパズの口を塞いだ。
「う…ん」
 上と下で、猥雑な水音が響く。それは極上の酒以上に二人を酔わせた。
 サイトーの中をかき回す、パズの指の本数もいつの間にか増えている。
「パズ…そろそろ…」
「あぁ」
 サイトーの内部から、パズの指がずるりと抜け落ちる。右手の挙動制御を取り戻したパズは、スラックスのポケットから銀色の小さな包みを取り出した。
「頼めるか?」
「…あぁ」
 サイトーは受け取ったコンドームの封を切ると、パズのモノにゆっくりと被せた。
 そして、それを自らの秘部に宛がう。
「あ…ぅ! く…!」
 パズの手を借りたとはいえ、上手く解しきれていなかった場所にパズを受け入れる。
 自重作用もあって、一気に飲み込んでしまい、裂かれるような痛みにサイトーの口から悲鳴のような声が漏れた。
「大丈夫か?!」
 パズは声を上げ、サイトーの腰に手を伸ばす。
「触るなっ!」
 サイトーの一喝にパズの手が止まった。
「俺に酔いたいんだろ? 酔わせてやるから、大人しくしてろ…!」
「…分かった」
 パズが両手を背もたれに預けたのを確認すると、サイトーはパズの両肩に手を置いて、ゆっくりと腰を使い始めた。
 パズのモノで内部のイイ場所を擦るように。締め付けとかは考えないことにした。パズに抱かれている時は意識したことがなかったからだ。考える余裕がないともいえるが。
「うっ…はぁっ!」
 痛みと快楽との合間で、サイトーは揺れていた。
 その様子をパズがじっと見つめている。サイトーを身体の中心に乗せたままで。
 触れもしない。もちろん、キスもない。
 けれど、パズの口から漏れた吐息がサイトーの首や肩をかすめ、パズも感じていることを感じさせた。
 それに有線したままのコードが互いの快楽を伝え合い、相乗効果で高めていく。
「うぁ…あ…!」
 きつく閉じた瞼の裏で、火花がスパークする。
「うあぁぁっ!」
 サイトーは身体を仰け反らせ、パズの腹に白濁した粘液を放っていた。
「………パズ………」
 パズの首に縋りついたサイトーは、パズの肩に顔を埋めたまま口を開いた。
「何だ?」
「…イけたか?」
「まだだ」
「あぁ…くそぅ…!」
「もういい、サイトー。もう充分だ」
「よくねぇだろ。お前がイけなきゃ…」
「あぁ、俺もイきたい。だから…」
 お前に触れさせてくれ。
 耳元に囁かれた言葉にサイトーが頷くと、パズはその身体をソファに押し倒した。



  



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