パズのセーフハウスに着くと、途中で買った夕食を手早くかっ込み、バスルームに向かう。
 脱衣室で服を脱ぎ捨て中に入ると、パズはシャワーのコックを捻った。
「まるで盛りのついたガキだな」
 パズの後ろで呆れたようにサイトーが溜め息を吐く。
「生存本能ってヤツだろ」
「あ?」
「死ぬ間際に子孫を残すってヤツだ」
「………お前、俺が死にに行くとでも思ってるのか?」
「思ってねぇよ。例え話だ」
「縁起でもねぇ」
「お前でも縁起を担ぐのか?」
「気分の問題だ」
「なら良くしてやる」
 パズはサイトーの腕をとると強引に引き寄せ、そこを掴んだ。
「っ!」
 抗議の声が上がる前にその口を塞ぐ。
≪テメェは強引で唐突なんだよ!≫
 しかし電通までは防ぎきれず、機械的な怒鳴り声がパズの電脳に響いた。
≪手順を踏んでお行儀良くか? 手早く抜いて帰ると言ったのはお前だろ?≫
≪確かにそうだが………≫
≪ほら。手がお留守になってるぞ≫
 パズはサイトーの手を掴むと自分のモノへと導いた。すでに勃ち上がっているモノに指先が触れ、一瞬ビクリと震えたが、意を決したようにそれを握るとゆっくりと上下に扱き始めた。
 シャワーの音に濡れたと音がかすかに混じる。
 サイトーは目の前の快楽に貪りついた。
 パズのモノを扱う手つきを早くしていく。しかし、パズの手つきは初めと変らず、ゆっくりとしたものだった。
≪パズ。お前こそ手が留守になってねぇか?≫
≪お前はがっつき過ぎだ。もっと愉しめ≫
≪んな余裕はねぇ≫
≪なら愉しみ方を教えてやる≫
 パズは身体を離すと、サイトーの身体を反転させ、後ろから抱きこんだ。羽交い絞めにするように引き締まった肉体を抱きしめ、サイトーの急所を掴む。
「テメェ! 何を…!」
 再びゆるゆると扱かれ、言葉が詰まる。反撃をしたくとも、パズのモノには手が届かない。
「これじゃあ、お前が愉しいだけだな」
 嘲笑うように、パズがサイトーの耳に囁きを吹き込む。
「自分でそうしたんだろうが!」
「あぁ、そうだ。俺はお前の背中をとった」
 その言葉にピクリとサイトーの身体が反応する。
「どうする? スナイパー」
 兵士にとって敵に背中を取られることは死を意味する。それが分からないサイトーではない。
「…お前はどうしたいんだ?」
 義体化率も格段に違う近接戦闘の猛者に背後を取られた時点で、サイトーの負けは決していた。
 素直にそれを認めて、相手の要求を受け入れる。今のサイトーにできるのはそれだけだ。
「このまま先にお前がイったら突っ込ませてもらう。もし、お前が俺を先にイかせることができたら解放してやる。後は好きにしろ」
「約束が違うじゃねぇか!」
「帰らせないとは言ってねぇ。用が済めば帰っていい。もちろんこのまま何もしないで帰るっていう選択肢もあるが、それを選べる状況じゃなさそうだ」
 パズの手の中のモノが強く脈打ち、主張している。サイトーの顔が羞恥に赤く染まる。
「………この状態でどうやってお前をイかせろってんだよ?!」
「手じゃなくて、口でするなら放してやる」
「! お前のをしゃぶれってのか?」
「咥える口が上か下か。それだけの違いだろ?」
 抵抗を封じるように、サイトーの首の根元に軽く噛み付く。それは獣にとって、強者が弱者に従うことを強要させる行為そのもの。
「…ぅっ!」
「選ばせてやる。決めろ」
 うっすらと血の滲む歯形を舐め上げ、獲物を追いつめる。
「………っ!」
 シャワーの雫を滴らせながら、サイトーは口を開いた。



To be Continued







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